院長メッセージ

膵島移植について思うこと 2004.11.30

院長メッセージ
2004年11月30日

11月27日、当クリニックにて第1回ヤングセミナーを行いました。京都大学移植外科の野口洋文先生に”膵島移植”についてのお話をしていただきました。
野口先生のお話は、基本的な膵島細胞の働きから始まり、実際に京都大学付属病院で行われた移植風景を、動画を用いて、大変わかりやすくリアリテイーのあるものでした。患者さんたちは皆、身を乗り出して聞き入っていました。一人一人の質問にも具体的に丁寧に答えてくださいました。
また、御自身の黄色いドナーカードと携帯電話、運転免許証、保険証の裏に張ってあるドナー証明も見せていただきました。

個人個人で受け取り方は違うかもしれませんが、”膵島移植”という治療が、1型糖尿病の今最も新しい治療法であること、インスリン注射を離脱する、患者さんにとって最も侵襲の少ない手段であることは確かです。1日でも早くインスリン注射から解放されたい方、インスリン注射をしながら元気な生活を送っているので必要ないと思っている方、さまざまだと思います。わたしは、1型糖尿病治療の選択肢の一つとして今後考えていきたいと思っています。

私が1型糖尿病になった27年前、「一生インスリン注射が必要です」と言われました。つい数年前まで考えられなかったことが、実際の治療として行われています。”移植”は多くの患者さんに提供できる治療ではないので、実際私がどの選択をするかまだわかりませんが、いつの日かインスリン注射をしなくてもいいような、そんな夢のような日が来るのかも知れないという希望をもって生きることが出来るようになりました。本当に医学の進歩にはめざましいものがあると思います。ただ、その影には多くの医療者や表には出ない研究者の努力があることに、患者としてまた同じ医療者として感謝と尊敬の念を抱いています。

野口先生のご講演でもありましたが、移植医療はドナー(提供者)があってはじめて成り立つものなのです。我々1型糖尿病の患者は、膵臓以外の臓器のドナーにはなり得ることを忘れずに、そして、いただく命とご家族に感謝の気持ちを忘れないようにしたいものです。

そんなことを考えながら、財布から、5年前にかいた黄色のドナーカードを見つめました。私の署名の下に母の署名が記してあります。この母の気持ちを大切に、今ある生命を精一杯生きていこうと思いました。

京都大学移植外科膵島移植のホームページ

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